News遺産分割前の被相続人名義の預金引出

例えば親が亡くなった場合、子は相続人となりますが、親名義の預貯金は生前は親の個人資産であり、死後は遺産となり遺産分割が完了するまでは相続人全員の共有財産となります。

したがって、子の一人が親の生前に勝手に引出し費消してしまったという場合、子の行為は不法行為(民法709条)又は不当利得(同法703条)となり、親は子に返還請求できます。親が亡くなった後は、他の相続人は親の返還請求権を相続しますので、各相続人は相続分に応じて当該子に返還請求できます。

一方で親の介護等のために親の預貯金を使いたいという場面もあります。親に頼まれて引き出して病院代や施設の費用を払うといったこともあろうかと思います。

問題となるのは、親が高齢だったり認知症だったりで、親本人に自分の財産を管理・処分する能力があるかどうかです。親の死後に他の相続人から、引出した当時には親はそうした能力を欠いていたので、勝手に引き出して自分のために使い込んだのだろうと前記の返還請求を受けることもあります。

そのような事態にならないためには、最低限使途が分かるように請求書や領収書は残しておく必要があります。親が健在なら、親が頼んだということを事後的にでも何らかの形に残しておきたいところです。また、親の判断能力に疑義があるなら成年後見制度の利用等も見据えて判断能力について専門医等の意見を聞いておくことも考えられます。

またこういった紛争は親の死後、生前どのような生活や介護状況だったかを遠方に住んでいる子などが知らないために生じてしまうところもあります。常日頃より、兄弟等推定相続人と介護の状況や費用について連絡を取り合っておくことも紛争防止の観点からは肝要となるでしょう。

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弁護士後藤 貞和Sadakazu Goto

『あなたがあなたらしくいられる場所へ。』

弁護士は話を聞く仕事です。だから、お話をすることをためらわないでください。

弁護士として「解決策」をご提案することもありますが、決してそれを強要したりはしません。倫理観を伝えたり、共有することはありますが、倫理的な評価を下すようなことはしません。

なぜなら、弁護士がかかわる瞬間は、その依頼者様にとっての「終着駅」ではないからです。弁護士は、依頼者様が「幸せ」という終着駅にたどり着くために、時に道を照らし、時に道を掃除する「道先案内人」だと考えています。

「あなたがあなたらしくいられる場所」へ。

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