限定承認の手続きの流れや費用、相続放棄との違いなど
被相続人(亡くなったひと)の借金などのマイナスの財産が、プラスの財産を上回る可能性がある場合には、限定承認の利用を検討すべきです。
本記事では限定承認の手続きの流れや費用、相続放棄との違いを解説します。
限定承認とは
限定承認とは、相続するプラスの財産の範囲内でのみ、借金などのマイナスの財産を引き継ぐという条件付きの相続のことをいいます。
具体的には、プラスの財産とマイナスの財産を比較したときに、プラスの財産がマイナスの財産を上回る場合には、すべての財産を引き継ぐことになります。
一方で、マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合には、マイナスの財産はプラスの財産の分だけ縮減され、プラスの財産の分と同額のマイナスの財産のみを相続するということになります。
限定承認の手続きの流れ
限定承認の手続きは、以下の流れで進められます。
■家庭裁判所への申述のために必要な書類の作成
■家庭裁判所への申述
被相続人のプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ「限定承認」を希望する旨を、家庭裁判所に申し立てます。
原則として、相続人全員が共同で申述する必要がある点、被相続人の死亡を知った日から3か月以内にしなければならない点に注意が必要です。
■家庭裁判所が限定承認の申述を受理・審判
家庭裁判所が限定承認の申述を受理し、審判を行います。
その後に以下の清算手続きが行われます。
■清算手続き
清算手続きのおおまかな流れは以下の通りです。
- 限定承認した旨の官報での公告
- 債権者への通知
- 不動産など金銭以外の相続財産の換価
- 申出のあった債権者や把握している債権者に対しての相続財産(3で換価した金銭を含む)からの弁済
- (全ての債務を弁済してもなお財産が残った場合)相続人が残りの財産の取得
限定承認にかかる費用
限定承認の手続きは複雑なため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することが一般的です。
報酬は、事案の複雑さや財産の額によって異なりますが、数十万円から百万円以上かかる場合もあります。
しかし、清算手続きの複雑さを考えると、専門家への依頼は必要経費と捉える方が現実的です。
なお、家庭裁判所への申述自体にかかる費用は約1万円程度となっています。
限定承認と相続放棄との違い
限定承認と、借金を含む一切の相続財産を引き継がない相続放棄の違いは以下の表の通りです。
| プラスの財産がある場合 | 手続き・費用 |
限定承認 | プラスの財産が残れば取得できる可能性がある(自宅などを残せる可能性がある) | 複雑・ややかかる |
相続放棄 | プラスの財産も一切相続できない | 簡単・あまりかからない |
まとめ
限定承認には、相続人全員での手続きが必要で、相続放棄と比べて手続きも複雑となっています。
限定承認の手続きに不安がある場合は、早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
Knowledge基礎知識
-
企業法務で弁護士に依...
企業法務に関して弁護士に依頼できることは、債権回収、 セクハラパワハラ問題、従業員の解雇、 契約書の作成やチェ […]
-
面会交流権について
「配偶者が子どもの親権者となるため、離婚前に面会交流について取り決めておいた。しかし、何かと理由をつけて子ども […]
-
離婚問題を弁護士に相...
「子どもの面会交流や養育費について話し合いがまとまらない。離婚協議書に記載せず離婚してもよいのだろうか。」「配 […]
-
離婚までの流れ
「離婚が成立するまで、どのような流れで進むのだろうか。」「離婚にはいくつかの方法があると聞いたが、それらに順序 […]
-
【弁護士が解説】退職...
財産分与は離婚の際に、夫婦が結婚している間に得たお金や物を公平に分けるために行われます。本記事では退職金の財産 […]
-
浮気の慰謝料相場はい...
浮気の慰謝料とは、浮気をした人がその配偶者から請求される、精神的苦痛に対しての損害賠償金を指します。その金額の […]
Keywordよく検索されるキーワード
Lawyer弁護士紹介

『あなたがあなたらしくいられる場所へ。』
弁護士は話を聞く仕事です。だから、お話をすることをためらわないでください。
弁護士として「解決策」をご提案することもありますが、決してそれを強要したりはしません。倫理観を伝えたり、共有することはありますが、倫理的な評価を下すようなことはしません。
なぜなら、弁護士がかかわる瞬間は、その依頼者様にとっての「終着駅」ではないからです。弁護士は、依頼者様が「幸せ」という終着駅にたどり着くために、時に道を照らし、時に道を掃除する「道先案内人」だと考えています。
「あなたがあなたらしくいられる場所」へ。
ぜひ、弁護士・後藤にご相談ください。
所属弁護士会 | 仙台弁護士会 |
---|---|
経歴 | 2014年 弁護士登録 |
Office事務所概要
名称 | 弁護士法人後藤東京多摩本川越法律事務所 弁護士 後藤 貞和 |
---|---|
所在地 | 〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町2-10-26 旭コーポラス一番町A303 |
電話番号 | 022-796-7037 |
FAX | 022-796-7038 |
営業時間 | 平日 9:30~20:00 事前予約で時間外対応可能 |
定休日 | 土曜・日曜・祝日 事前予約で休日も対応可能 |
備考 | 初回電話相談無料/WEB面談(chatwork等)対応可能 |