退職勧奨における退職金の取り扱い|上乗せや交渉のポイントなど
会社側が従業員に退職勧奨をする場合、従業員の合意が得られるように円滑な話し合いを進めていく必要があります。
また従業員側が退職金の上乗せを要求する際に、適切な交渉方法で進めて行く必要があります。
本稿では、退職勧奨における退職金の扱い方や上乗せ要求があった場合の交渉方法について解説します。
退職勧奨と解雇の違い
退職勧奨とは、会社側が採用した従業員に対して話し合いを行い、雇用を終了することを目指していくことです。
他方解雇とは、会社側が一方的に従業員との労働契約を終了することです。
退職勧奨の場合、従業員が雇用を継続してほしいと望むこともあれば、退職金の金額次第で受け入れる、というケースもあります。
退職金とは、退職した後の生活を安定して送るため、また企業側が退職を受け入れてもらうための補償という形で支払われるお金のことです。
従業員への退職勧奨で避けるべきこと
退職勧奨を行う際の注意点として、従業員が退職を強要されている、契約違反だと感じてしまわないようにすることです。
従業員が不当な心理的圧力を感じてしまうと、円満に解決することが難しくなるかもしれません。
また違法な方法で退職勧奨を行ったことで訴えられると、慰謝料の支払いや退職の合意が取り消されてしまう可能性もあるため注意が必要です。
退職金の話し合いをする時にも、雇用契約や就業規則に則って支払いの条件を決めていくと、円滑に進めていけるでしょう。
従業員が交渉の場で退職金の上乗せをしてきた時の対応
会社側が退職勧奨時に退職金を支給する取り決めを設けている場合、従業員と交渉していくことになります。
退職金の話し合いで、会社側が提示した金額よりも、従業員が上乗せを要求してくる可能性があります。
その場合、従業員が提示してきた退職金の上乗せ金額が、相場に適しているかを確認することが大切です。
退職勧奨における退職金の上乗せ分の金額相場は、以下を考慮して計算すると良いでしょう。
- 自社の経営規模
経営規模が大きいほど従業員が退職するデメリットが大きくなるため、退職金を多く支払わないと合意を得られにくい
- 従業員が退職後に必要となる生活費
扶養すべき家族がいるかどうかも生活費を決定する事項になる
- 退職勧奨までの間の自社の対応経緯
自社の非が大きく従業員が対応に不満足を抱いている場合は退職金を多く支払わないと合意を得られにくい
これらを考慮して、退職勧奨における退職金の上乗せ分は、退職する従業員の給与3ヶ月ほどを目安とするのが一般的 です。
ただし、従業員の合意が得られなければ成立しないため、交渉が難航する場合は弁護士など専門家に仲介を依頼することをおすすめします。
まとめ
会社側が退職勧奨を行う際、円滑に進めるために従業員に対して圧力を感じさせない方法で話し合いを進めていく必要があります。
従業員が退職金の上乗せを提案してくる場合には、自社の経営規模、従業員が退職後に必要となる生活費、退職勧奨までの間の自社の対応経緯などを考慮して上乗せ金額を計算しましょう。
従業員に退職勧奨を円滑に行う上で注意すべき点や、適切な退職金額を決めたいなどの企業法務に関することは、知識と経験豊かな弁護士に相談すると良いでしょう。
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